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私たちは静かにゆっくりと迫る世界的な脅威に直面しています.

抗菌薬に耐性を持つスーパー耐性菌の制御不能な増加により、毎年約70万人が死亡しています。これらのスーパー耐性菌は、国や年齢を問わず、誰でも感染する可能性があります。AMRは、全世界の人々に影響を及ぼす万国共通の問題です – すべての人がリスクにさらされています。

この極めて重大な世界的危機は、死者数や経済的コストの点でCOVID-19を上回る可能性があります。

私たちは静かにゆっくりと迫る世界的な脅威に直面しています.

AMRは現代医療のあらゆる面を弱体化させます

親知らずの抜歯から臓器移植、そして癌の化学療法まで、あらゆる処置を実施できるかどうかは、有効な抗菌薬が利用できるかどうかにかかっています。

スーパー耐性菌により、単純な感染症でも死に至る可能性がある、ペニシリン発見以前の19世紀の医療レベルに逆戻りする可能性があります。

今こそ行動の時

AMRは以前から存在する、進行スピードの遅い脅威ではありますが、その危険性は現在世界に大きな影響を及ぼしているCOVID-19のパンデミックより低いわけではありません。

COVID-19で目にしてきたように、人間は未だ感染症に対して脆弱であり、COVID-19に対する治療薬やワクチンを見つけようと慌ただしく行動する中で、備え不足による莫大な経済的コストと公衆衛生上のコストを目の当たりにしています。備えをしておくことは、長期的に見ると結局のところ費用対効果が高いと言えます。

新型コロナウイルスが2020年1月初旬まで未知の存在であったのに対し、AMRは以前から知られている脅威です。AMRは今存在する脅威であり、増加の一途をたどっています。新たな治療薬が喫緊に必要とされる優先病原体が明らかになっており、AMRは何年も前から政治的な議題に上がっています。

AMRは予測可能な、防ぐことのできる危機です。私たちは今、AMRの先を行く重要な機会を手にしています。その機会を無駄にしてはなりません

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次世代の抗菌薬は人類にとって必要不可欠ですが、現時点では、これらの貴重なツールの開発は十分ではありません

耐性の性質上、常に新しい抗菌薬が必要になります。しかし、薬剤耐性菌の出現は、新たな抗菌薬が市場に出るよりも早いペースで進んでいます。

Pew Charitable Trustsが最近行った評価によると、現在のニーズと今後予想されるニーズを満たすには、臨床開発中の抗菌薬の数があまりにも少なすぎます。そして、これらの化合物のほとんどは、小規模のバイオテクノロジー企業によって開発が進められています。

課題の内訳:
1

採算性のある抗菌薬市場の欠如
抗菌薬の開発は、膨大な時間がかかる、複雑でリスクの大きいプロセスであり、開発過程で多くが失敗に終わります。新たな抗菌薬が承認されても、さらなる耐性の発現を遅らせて有効性を温存するために、できるだけ使用が控えられます。これは公衆衛生上は理にかなっていますが、頑健な抗菌薬パイプラインを維持するために必要な投資水準をサポートできません。さらに、AMRによる莫大な社会的コストにもかかわらず、私たちの医療システムは新規抗菌薬の価値を十分に認識していません。

2

限定された後期開発段階への投資
投資に見合う採算が取れる抗菌薬市場がなければ、新規抗菌薬を開発するバイオテクノロジー企業は、臨床開発に対する資金を調達することができません。つまり、重要な抗菌薬が「死の谷」を乗り超えられず、それを必要とする患者さんに届けられない可能性があります。初期段階の研究に資金を提供する最近のイニシアチブは、抗菌薬の前臨床パイプラインの改善に貢献してきました。しかし、より複雑で費用がかかる後期開発段階への支援や投資がなければ、これらの化合物は日の目を見ずに終わってしまいます。

3

崩壊の危機にある脆弱な抗菌薬パイプライン現在、臨床開発中の新規抗菌薬はほとんどありません。近年、抗菌薬に注力する多くのバイオテクノロジー企業が、新規抗菌薬の開発に成功したにもかかわらず、採算が取れず持続できないという理由で、破産を申請したり、この分野から撤退したりしており、結果的に貴重な専門知識やリソースが失われています。

差し迫った世界的な公衆衛生上の危機に対応し、持続可能な抗菌薬市場を創出するために、今すぐ行動を起こす必要があります。

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抗菌薬の研究開発への持続可能な投資を推進するためには、市場ベースの政策改革が必要です

抗菌薬の研究開発への持続可能な投資を可能にする市場環境を創出するためには、償還制度改革や新たなプル型インセンティを含む、市場ベースの政策改革が必要であるという点で、おおかた意見が一致しています。

抗菌薬パイプラインが患者さんのニーズを確実に満たすようにするためには、抗菌薬市場を活性化させる政府の断固たる対策が必要です。

単独でこの問題を解決できる対策はありません

今後数十年間にわたって抗菌薬の研究開発が活発に行われるような環境をつくるために、全世界の政策立案者が市場ベースの改革策を制定していく必要があります。

追加の研究開発投資を推進する可能性がある、複数の対策が議論されています。各国政府は、それらについてさらによく検討し、実行したり試行したりすべきです。世界中どこでも有効な単独の解決策というものはありません。

新規抗菌薬の使用量ではなく、その価値に基づいて一定レベルの経済的利益を提供する製造販売承認取得報償付与指定制度、定期定額購買制度、及びその他の新たなインセンティブは、イノベーションの推進に役立つ可能性があります。

抗菌薬への適切なアクセスを確保し、抗菌薬の研究開発の経済性を安定させるためには、抗菌薬の固有の特性を反映した償還方法や価値の評価方法の改革が必要です。

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必要な政策改革を実施するには時間がかかります

それまでは、私たちの未来を守るために、官民が一丸となって、有効な新規抗菌薬の現在のパイプラインを維持するために、今すぐ対策を取る必要があります。

製薬業界では、約10億米ドルを投じてギャップを橋渡しし、AMRの脅威に対応していきます。本ファンドでは、今後10年間で、患者さんの命を救うことにつながる2~4剤の新規抗菌薬を製品化することを目指しています。AMRアクションファンドは、パイプラインの革新的な候補物質が最も困難な後期開発段階を乗り越えられるよう橋渡しし、最終的には持続可能な抗菌薬パイプラインを実現するために必要な政策改革を行うための時間を政府に提供します。

そのためには、すべてのステークホルダーが協力してイノベーションを起こす必要があります。

AMRアクションファンドでは、以下のような将来的なパートナーの支援を受けながら、10億米ドル以上の投資を行っていく予定です:
1

開発銀行

2

慈善団体

3

国際組織/戦略的パートナー

4

その他のインパクト投資ファンド

業界のステークホルダーと業界以外のステークホルダーが幅広く結集し、連携することで、私たちは力を合わせて差し迫った世界的な公衆衛生上の危機に対応し、パイプラインへの持続可能な投資を可能にする市場環境の創出を政府に促していくことができます。